ネクタイの差し入れが

刑務所で服役している弟に、兄がネクタイを差し入れしたところ、
そのネクタイで弟が首吊り自殺をしてしまった、ということがあった。

これだけなら、肉親の思いやりが裏目に出てしまった痛ましい事件と
なるのであるが、ここからがおかしな話で、この兄弟の母親が、
弟が自殺したのは、法律で禁止されているはずのネクタイの差し入れを
職員が見逃したためで、職務怠慢である、として、損害賠償請求を
起こしているというのである。

ネクタイの差し入れを見逃してしまったのは、確かに職員のミスである。

それについては責められるべきところかもしれないが、だから自殺の
責任もある、と考えるのはむちゃくちゃではないだろうか。

その論理でいくならば、国ではなく兄を訴えないとおかしい。
自殺の道具として利用したネクタイを弟に渡したのは、あくまでも
兄であるから、最も責任重大なのは兄としか思えない。

だが、自殺したのは弟の意思によるものであるし、その責任を
他の人間に転嫁することはできないし、ましてや母親にその補償を
することなんてありえないのである。

刑務所に入るような犯罪を犯してしまい、自殺までしてしまった
息子のことを、むしろ周囲に詫びるべきではないだろうか。

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